【洋書】セレブニューヨーカー達が紹介するニューヨークのお気に入りスポット

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世界の首都とも言われるニューヨーク。アメリカの各地から、いや、今は世界の国々から、夢を抱いてニューヨーク空港に着陸する若いアーティストや俳優のたまごさん、世界を舞台に実力を広げてみせたいという料理人の方々。。。数え切れないと思います。

この本は今は大成功をおさめた過去のたまご達が自分たちの好きな場所を紹介する本です。(もちろん中にはニューヨーク生まれニューヨーク育ちの人もいます)
ニューヨークのセレブが語る「お気に入りの場所」だからと言って皆が皆リッチな場所を紹介しているわけではありません。昔俳優のたまごだった時にお金がなくて安い食堂を探しに探したという話や、公園の話などがむしろ多い印象です。
ニューヨークでたった一つ好きな場所を選んでみてくださいと言われて一流ホテルやミシュランガイドレベルのレストランを挙げるのは簡単で、お金があるセレブならだれだって言えるものです。しかし、いかにも平凡すぎる「セントラルパーク」とか「リバーサイドパーク」を挙げている人が多くて、ちょっとはがっかり。セレブのくせして公園かよ〜 と思いながら次の話を見てみると、若い頃あった思い出の出来事や今の自分に成長したきっかけが書いてあって、この人は本当のニューヨーカーなんだなと思いました。

ニューヨークというまちは世界から集まってきた人間たちが、来年ところか来週のことすら保証できない状態で、いつここを去ってしまうか分からないような人生を送るまちです。だから生まれがニューヨークだからニューヨーカーだとか、10年住んでいるからニューヨーカーだとは言えないものです。
それに、ニューヨークはネームバリューというのがあるからやたらと「アタシはニューヨーカー! (`へ´) 」と自分で決めつけたがる人も大勢います。でもニューヨーカーというのはただの「ニューヨーク市民」という意味でここに住んでいればニューヨーカーだし、たった1週間の滞在でも自分はここに住んでいると思っていたらニューヨーカーです。

ニューヨークも資本主義の本家であるアメリカのまちです。いや、もう資本主義の世界の首都で間違いありません。お金があれば何をしたってかまわないし、どこでも歓迎される。だからお金をばんばん使って高級エステサロンや豪華なレストラン巡りをして、ブランド品の買い物ばっかりしているとそりゃあニューヨークは地上楽園。消費税もたくさん払っているんだからそれはそれは望ましい市民の姿。市長から表彰されるべきニューヨーカーでしょうね。

でも、お金がなくても、ミシュランガイドブックに載っているようなレストランじゃなくても、ボロ臭いアパートメントに夜帰る道のりが怖くてならない日々でも、その生活のなかで自分自身を高めることが出来、毎日一歩ずつ前進し、ちゃんと意味を見出すことができる人だからこそ真のニューヨーカーではないでしょうか?

だからこの本に載っている場所とその説明の文章を見ると
憧れのセレブが紹介する素敵なまちのお気に入りスポットにも真の意味で素敵な場所がある反面、虚栄心の現れのような場所があるのです。

最初この本を読もうと決めたときは、私の知らない素敵な場所が見つかることを期待していましたが、意外とあまりありませんでした。もう私も1年以上ここに住んでいるからかなり詳しくなったということもありますし、いちどこういう風に「セレブが紹介する」的な肩書きで本が出たからすでに知名度が上がりすぎたのが原因だと思われます。
ただし、ここに行くとこんな物が買えますよ。とか
こんな美味しいものが食べられますよ。といったようなガイドブックの紹介と違って、それぞれの場所が自分にとってなぜ特別なのかを紹介してくれるのは良いなと思いました。
多分、この本の為に特別に原稿を書いてもらったのは一部で、雑誌に発表された文章を集めたような部分もあります。なので、全般的に水準の高いエッセイのような文章は期待できず、こく一部において「これは素晴らしい!」と感心する話が載っています。

英語的には皆がひたすらどこかの場所を褒めている内容なので文型がある程度限られていて読みやすいです。私はオーディオブックで聴きましたので、ほぼ定型文になってしまった beautifulとか gorgeousとか amazingとかの、アメリカ人特有のオーバーアクション的な褒め方にはちょっとウンザリしましたけど、、、多分声優の読み方がやりすぎたからかもしれません。
また、最初から最後まで一人の書き手が書いている文章じゃないから言葉がかぶるのは仕方がないし、ニューヨークという土地柄上文章を出したセレブには俳優さんが多いからやたらと言葉遣いが劇的なのかもしれませんね。

場所の紹介のあとは住所とウェブサイト、電話番号がしっかり載っているので
ちょっと特別なかたちのガイドブックにも遜色ありません。


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ここから下は本とはあまり関係がない私の個人的なつぶやきです。長いので、ご興味のない方はパスして下さいね (*‘ー‘)ゞ

ニューヨークに憧れて、ニューヨーク旅行を前に、または既にニューヨークに住んでいて日々素敵なニューヨークを発見したい!と思っていらっしゃる方にこのブログを読んでもらっているんだと思います。
なので私もあまり自分のひねくれた感情は出す必要がないと決めていましたが、ここ最近感じることがいろいろあったので少し書いてみます。

正直なことを言わせて頂きますと私はニューヨークのことがそんなに好きではありません。いや、正確に言うとやたらとみんなが「ニューヨーク最高!」という流れと、そこにテキトウに乗っかって意味も分からず「ニューヨーク最高!わたしってニューヨーカー!」と見せびらかすような人々の多いことに違和感を感じています。ニューヨークは素敵なまちかって聞かれたらそれは素敵ですと答えますが、「最高」ではありません。少なくとも私には。

ニューヨークのことを最高最高と、ほぼ崇拝している人々に
じゃあニューヨークのなにが最高なの?と聞くと
自由だからとか、ニューヨークには何でもあるからとか、まち全体が映画のシーンのようで素敵だとかいろんな答えが返ってきます。それで本当に「最高」という言葉を軽々と使っていいのでしょうか?ひょっとしたら、皆が「素敵」と言っているからそう見えるのではありませんか?ひょっとしたら、ただ多くの人がそう言っているから調子をあわせているのではありませんか?

自由についてどれほど知っていますか?ニューヨークにはなんでもあるってどれほどのことを数えましたか?貴方の国には絶対ないものがここにはあると断言できますか?
そして留学やらなにやらが終わって帰国した時「ニューヨークは最高によかったのにね。日本はダメだわ」なんぞ言ってませんか?ニューヨークに比べて日本のどこがどうダメなのか説明できますか?そして、そんな言い方はニューヨーク滞在を経験してない人をひっくるめて負けもの扱いしているのだとは思いつきませんか?
こんなわたし、ひねくれ過ぎですか?

留学や旅行は良いものです。若者はどんどん世界に出ていろんな人にあって、いろんなものを見るべきです。しかしその後帰国して「向こうは良かったのに、日本はつまらないわ」と文句ばっかり言ってると留学に使ったお金が泣きます。留学先が素敵だったとしたらなぜ素敵だったのか、我が国もそう素敵なところにするには私は何をするべきか、我が国にあって向こうにない魅力はなんなのかと見つめるべきです。

数千年もの時間をただただ畑を耕して平和に暮らしていた日本がいきなり世界の列強に脅かされた時、日本は膨大なお金を投じて世界に留学生を出しました。帰国した留学生は文句を言うんじゃなく、日々我が国の発展のために習ってきた知識を活かすことに専念しました。その後のことがどうであれ、間違いなくそれは明治日本を強くする原動力になりました。

語学学校時代の友達が次々と日本に帰り、フェースブックやら何やらに毎日のことく「日本はダメだ」と口説くのを見ていると
果たしてあの子はニューヨークの強みと魅力を、身をもってどっぷりと感じたことってあるのかなと考えさせられます。

少なくとも私が感じたニューヨークの魅力は、「ニューヨークは確かにすごい。そして、我が国も、きっとすごい」と思わされる点だったからです。

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